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一杯のそば

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(ネットからの抜粋です↓)


今日、ちょうど定年退職をむかえた初老の男が
ひとり、駅前の立ち食いそば屋で一杯のそばを食べている。

エビの天ぷらが一尾のっかった一杯500円のそばだ。

男は30年も前からほぼ毎日昼休みこの店に通っているが、
一度も店員とは話したことがない。

当然、話す理由なども特にないのだが、今日
男は自然に自分と同年齢であろう店主に話しかけていた。

「おやじ、今日俺退職するんだ。」

「へぇ・・・。そうかい。」

会話はそれで途切れた。

ほかに得に話題があるわけでもない。

男の退職は、今日が店を訪れる最後の日であることを表していた。

すると突然、男のどんぶりの上にエビの天ぷらがもう一尾乗せられた。

「おやじ、いいのか。」

「なーに、気にすんなって」

男は泣きながらそばをたいらげた。

些細な人の暖かみにふれただけだが涙が止まらなくなった。

男は退職してからもこの店に通おうと決めた。

そして財布から500円玉を取り出す。

「おやじ、お勘定!」

「700円。」
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by lootone | 2011-02-22 10:35 | ・ある出来事と言葉